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東京地教研1月例会・オンラインシンポジウム

●『地理院地図で東京を歩く①』を読み解く(1)

 

 地理教育研究会(以下地教研)では従来から地図学習の重要性が認識されてきました。その中でも東京地教研は、長年にわたるフィールドワークの成果を3冊の報告書にまとめてきましたが、今回は地理院地図の活用を念頭に編集して、書籍として『地理院地図で東京を歩く①』(202010月発行、清水書院)を刊行しました。今回、『地理院地図で東京を歩く①』の発行を契機ととらえ、地理院地図の活用例と留意点を、具体的な地域を教材にして、みなさまと一緒に考え、意見交換しました。

 

・日時 2021123日(土)15時~1630分 

 

・場所 地理教育研究所などから発信、zoomによるオンラインシンポジウム形式

 

 

 

第1回シンポジウムの内容

 (1)地域の変化と「地理院地図」 

①東京を歩く楽しさと「地理院地図」

②地域の変化の速さとコースの再検討の視点等を主に編集長である高田和則さんの報告

 (2)地域学習と地理院地図 

①地域を選ぶ視点

②改めて地域を歩いて感じたこと

    ③教材化に向けてなど、編集委員からの報告 

 

シンポジウムの最初に、編集長高田和則さんから作成の経緯が語られました。「地理院地図」を使って何かやってみようということで、東京に関する3冊が思い浮かびました。最近の東京の変化を取り入れて、一般向けの地理の本をお意識して読みやすいこと、持ち運びしやすいA5版にコンパクトにまとめることを優先しました。そのため1冊に17コースとして、全体で3冊を考えました。

 次に“コース1江戸城を歩く”から高田さんの報告がありました。元々、星野朗先生の案内で、2004110日、17年前に歩いたコース。当時は江戸城(皇居ではない)に入れることも一般的には知られていませんでした。東京駅が2014年に建て替えられ、さらに周辺も大きく変わり、書き直しというよりも、新しく追加することもあったとのことです。大手門から入ると台地の先端を実感。本丸から北の丸公園、靖国通りから飯田橋駅で解散。

 “コース2番町・麹町を歩く”を執筆者の海東達也さんから報告がありました。四谷から江戸城を歩く、イグナチオ教会から清水谷公園は高田さんのアイデア。地理教育研究所も所在する所で、元々、幕臣が居住し、明治には文士が住んだ場所です。歴史散歩としてもよいコースでした。

 3人目は“コース③池袋を歩く”を執筆された石田素司さんから報告がありました。ここも池袋闇市研究の先駆者星野朗先生のフィールドで、豊島区郷土資料館の闇市のジオラマは星野さんの調査が基になっています。1986年の北口三業地のクリアランスで闇市の面影は消えました。豊島公会堂も近年建替えられて、8つの劇場からなる複合ビル「ハレザ池袋」、2020年には新「トキワ荘」も誕生して、池袋も変貌しています。

 さらに、“コース④神田上水を歩く”笹川耕太郎さん、“コース⑤小石川を歩く”海東さん、と報告があり、その後、参加者と執筆者との意見交換があり、430分に終了しました。次回の後半に続きます。